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くらしの健康診断
2024年05月22日 [くらしの健康診断]

揉めない相続A:スムーズに遺産分割するには?

揉めない相続A
みなさん、こんにちは!
司法書士の清水です。
当事務所は2001年開業からこれまで2000人以上の方々の「くらしや住まい」に関するご相談やサポートをしてまいりました。
前回ブログでは「相続で揉める傾向のあるケースと相続手続きがスムーズにできないことでの問題点」をお伝えしました。
今回は「スムーズに遺産分割するための方法や注意点」についてお話をします。


遺産分割協議は絶対必要?
前回のブログでも紹介したとおり、関係性が希薄な親族同士で、相続について話し合い(遺産分割協議)、遺産の分け方を相続人全員が合意しないといけないことは大変骨が折れます。これまで接点のなかった親族と連絡を取り合うこと自体がストレスで煩わしいという理由で、相続分があったとしても「相続放棄」を検討する人も少なからずいらっしゃいます。
財産の多い少ないにかかわらず、遺産分割協議が必要となりますが、本人が法的効力のある「遺言」を残してくれていれば遺産分割協議を行わなくても済みます。

「遺言」がトラブルを巻き起こす場合もある!?
ただし、「遺言」を残しさえすれば安心というわけではありません。その内容が大事です。遺言の内容がトラブルの火種になってしまうこともあるのです。トラブルを引き起こす遺言の例をあげてみます。

・特定の相続人にすべて相続させるという内容が書いてある
他の相続人は何ももらえないことになるため、「遺留分侵害額請求」がなされる可能性があります。
※「遺留分侵害額請求」とは
一定の割合である「遺留分」(基本は法定相続分の1/2)が保証されているので、遺言の内容に不服な相続人は遺留分侵害額請求を行うことができる。
遺留分は相続人の構成によって異なってくる。兄弟姉妹には遺留分はない。

遺留分

・遺言の意図、想いや気持ちが相続人に伝わらない
仮に特定の相続人に便宜を図るような遺言を書いたとしても、相続人にその意図や思いが伝わり、相続人全員が納得できればトラブルにはなりません。
遺言には親族へのメッセージや葬儀・納骨に関する希望などを伝えるための「付言事項」をつけることができます。
例えば「子〇〇は、介護が必要となった自分をサポートするため、仕事を辞め、自身の家庭を顧みず全身全霊で介護にあたってくれた。そのことから〇〇には他の兄弟姉妹よりも多く相続させることで感謝の意を表したい」というような意図をきちんと文章で残されていれば、皆が納得するかもしれません。

スムーズに遺産分割するための方法・注意点
@想いや気持ちは文章で残す
遺産分割協議をしなくて済むために、法律で決まった通りの様式に則った法的効力がある「遺言」を作成しておくことをお勧めします。想いや気持ちは「付言事項」でしたためましょう。
また、エンディングノートには法的な効力はありませんが、遺言の付言事項に書くような内容を自由に書き記しましょう。
いくら生前に本人は〇〇と言っていたと代弁しても親族全員が納得しにくいです。
必ず文章に残してもらうようにしましょう。

A遺産分割協議の場で感情的になるのは禁物
財産が絡む遺産分割協議の場では親族関係の不和や親族への不満が噴出することで「争続や紛争」につながってしまう場合があります。
「争続や紛争」に陥らなかったとしても、以下のようなケースでは遺産分割協議の場が混乱したり、話し合いが長引いてしまったことがありました。

・亡くなった人の親の代までさかのぼり、長きにわたって金銭的な迷惑をかけてこられた穴埋めを今回の相続でしてほしいと、多めに相続分を主張する。

・ご本人は財産を多く相続したいという思いは毛頭もなく、自分の苦労を他の親族に労ってほしいという気持ちで、自分ひとりが介護を担い苦労してきたことを声高に訴えてしまう。

・亡くなった人の生前にいかに自分がかわいがられてきたか、それに報いるためにいかに自分はその人に尽くしてきたかを自分が特別な存在であることを他の親族にアピールする。

Bふだんからのコミュニケーションが大切
「相続」はこれまでの親族関係の集大成の場。ふだんから連絡をとりあう間柄ではないのに、いきなり財産の分け方など踏み込んだ話をするのは大変です。本音を言える、建設的に話し合える信頼関係づくりがはじめの第一歩です。
また、関係性が疎遠な親族同士で無理に話をするとストレスになったり、親族との仲が悪くなるなどトラブルの原因にもなります。ご自分たちだけで頑張ろうとせずに、専門家に間に入ってもらうなどしましょう。