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くらしの健康診断
2024年07月24日 [くらしの健康診断]

親の“異変”をキャッチするには?

みなさん、 こんにちは!
司法書士の清水です。
当事務所は2001年開業からこれまで2000人以上の方々の「くらしや住まい」に関するご相談やサポートをしてまいりました。
ここ数十年の間に、日本社会は少子高齢化が急速に進み、 また家族の有り様も大きく変わりました。
このプログでは、豊かなくらし実現のために役立つテーマを選び、 みなさまに定期的にお屆けしております。
今回は「離れて暮らす親御さんの異変のSOSをキャッチできなかった例」をご紹介し、 どうすればよかったのか事前にできる準備や予防策をお伝えします。
*プライバシーを考慮し、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。


<事例>もっと早くに異変に気付いておければ・・・
子どもたち2人とも独立し、父亡き後、母ひとりが実家で生活している。母はしっかり者で自立心旺盛。
しかし、80代になると同じことを繰り返し話すことが増えてきた。話したことを忘れることが増えたなあと感じるようになってきたが、年相応の物忘れかと軽く考え、子どもたちは盆暮れの帰省時に様子を見る程度だった。
ある日、「泥棒に入られた」と母が110番通報したことを警察からの電話で知る。
慌てて実家に駆け付けると、キャッシュカードを失くして預金がおろせないと近所の人から借金を重ねていることも発覚。
病院を受診したところ、アルツハイマ-型認知症と診断を受ける。
子どもたちは本人の預金口座からお金を引き出すために銀行に出向き、銀行に事情を話したところ後見人をつけることを銀行から勧められた。
後見人が就任して口座からお金が下せるようになるまで半年近くはかかると言われてしまい、子どもたちで生活費を肩代わりしなければならなくなり頭を悩ませている。

事前にできる準備や予防策
ここまで状況が深刻化してからではないと、お母さまの心身の変化にどうして気づけなかったかと疑間に思う読者の方もいらっしやるかもしれません。
離れて暮らしている場合は電話やビデオ通話などを活用して定期的に親御さんの状況をチェックできるようにすることは有効ですが、それだけでは異変に気づけません。
親が老いていくことを認めたくないと心のどこかで思っていたり、親御さんが立派でしっかりされている方だとなおさら、「うちの親にかぎってそんなことはない」と現実を受け止めずに事態の深刻さを過小評価してしまうこともあるからです。

ケアプラザに早期に相談して見守ってもらったり、近所の方に異変を感じたら連絡がもらえるようにお願いしておくなど、第三者の目を入れておくことで客観的に現実を捉えることが可能になります。
また、家族だけで見守って支えるのには限界があります。
家族で抱え込まず、地域のネットワ-クを利用することで孤立を防ぎ、 日常生活での問題にちょっとした異変に早期に気づくことができます。ちょっとした異変は本人からのSOSです。
参考までに、異変のSOSとして考えられることをご紹介します。

家に現れるSOSの例
・庭の草木が伸びたままで手入れがされていない、水やりができていない。
・ゴミが放置されたまま、変なにおいがする。
・台所に食べたままの食器が積み重なっている。
・窓、カテン、雨戸が開閉されない。
・夜でも明かりがつかない。
・昼間なのに明かりがつけつばなしになっている。
・夜中でも大音量で音楽やテレビの音が外まで聞こえてくる。
・同じ洗濯物が何日にも干されている。
・郵便や新聞がたまっている。

本人に現れるSOSの例
・訪間しても顔を出してくれない。電話に出てくれない。
・最近、姿を見ない。外出している様子がない。
・顔色が良くなく、元気がない。やせてきた。
・収集日を間違えてゴミを出したり、ゴミの分別ができない。
・家財道具など必要なものを大量に捨ててしまう。
・物を盗まれたという。
・急に泣き出したり、怒ったりなど情緒が不安定。
・話がかみ合わない(同じことを何度も繰り返す)
・いつも同じ服、季節に合わない服や汚れたり破れたりした服を着ている。
・長期間お風呂に入れていないようで臭いがする。
・見慣れない人(業者)が頻繁に出入りしている。
・急に家の修理や工事を始めたが、本人に聞いても目的をよくわかっていない。