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くらしの健康診断
2024年06月05日 [くらしの健康診断]

リバースモゲージ・リースバックとは?

リバースモゲージ・リースバックとは?
みなさん、こんにちは!
司法書士の清水です。
当事務所は2001年開業からこれまで2000人以上の方々の「くらしや住まい」に関するご相談やサポートをしてまいりました。
今回は相談の多い「老後の住まい」について、リバースモゲージ・リースバックを利用する際の注意点をお伝えします。

住宅ローンの借り換えのためのリバースモゲージの利用が増加
2016年から続いてきたマイナス金利政策の解除を日銀が決めたことによって、住宅ローンの返済額アップをご心配の方も多いと思います。
今、利用している住宅ローンを借り換えるための資金として、リバースモーゲージを利用する人も増えています。
住宅金融支援機構「2023年度 住宅ローン貸出動向調査結果」によると、リバースモーゲージの利用目的として多いものは「リフォーム資金」、「自宅の建設・購入資金」、「住宅ローン借り換え資金」の順で、それぞれ約8割となっています。
国土交通省の調査によると住宅ローンの返済期間は平均30年程度ですが、住宅金融支援機構の前出の調査結果によると、業界として返済期間35年超のローン提供に力を入れる傾向にあるようです。
このところ首都圏中心部の住宅の値段が高騰しておりますので、返済金額の高額化および返済期間の長期化によって、年金を受給する年齢になってもローンを返済し続けていかざるを得ない方がますます増えていく可能性があります。
ローンの残債をなくすためにリバースモゲージの利用を検討する方もいらっしゃるかもしれません。
利用する前にメリットだけではなくデメリットやリスクをきちんと把握する必要があるかと思います。

リバースモーゲージとは
自宅を担保に借り入れをし、原則として生存中は利息のみ支払い、死亡後に自宅を売却するなどして元本を一括返済する融資契約。
借り入れ額は住宅の資産価値次第。資産価値が高ければ高いほど、借り入れ上限額は高くなる。

<デメリット>

・利用できる物件が限られる(資産価値が高い物件やエリアなど限られている)。
・亡くなったときに自宅を売却して元本を返済するため、遺族に家を残せない。
・融資する際の自宅査定額は売却するより相当低くなる(60%程度)可能性がある。
・生存中は利息を支払う必要があるが、利息は変動金利型が一般的なので金利が上昇すると支払わないといけない利息額が増えてしまう。
・不動産価格が下落すると想定外の返済が必要な場合がある。
不動産の評価額の見直し(資産価値の再評価)と借り入れ上限額の見直しが行われ、借り入れ残高が借り入れ上限額を上回ると、生存期間中に差額の返済を求められる可能性がある。
・長生きによりリバースモゲージで得た金額だけでは生活資金が不足する可能性がある。

リースバックとは
自宅を不動産会社に売却して売却代金を受け取り、そのまま賃料を払い住み続ける(所有から賃借となり賃料を払わなければならない)契約。
自宅を売却するので所有権はリースバック事業者に移る。
リバースモゲージのような融資ではないので、利息の支払いは必要ない。不動産価格下落に伴うリスクや金利上昇リスクはない。

<デメリット>

・売却代金が通常の売却するより低くなる(60%程度)可能性がある。
・契約内容が変更される可能性がある(賃料、契約期間など)。リースバックは期間を限定する「定期借家契約」なので、契約が更新されずに追い出されるリスクがある。
・買い戻しもできるが売却時より高額になるケースが多い(収入が限られる高齢者が買い戻せるケースはほとんどない)
・長生きにより売却金額だけでは生活資金が不足する可能性があるなどリスクが高い。長生きをすることで賃料の総額が売却で得た資金を上回ってしまう可能性もある。

詳しくは 国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドライン」2022年6月をご覧ください。
トラブルに合わないためにトラブル例や利用する際のポイントがまとまっています。

上記のような制度のデメリットやリスクを熟知した上で利用すれば、毎月の支出が抑えられたり、まとまった売却金が受け取れることで安心を得られるかもしれません。
しかし金融や経済情勢は刻々と変化します。例えば20〜30年先までの安心が約束されたり、将来に対して万全な備えができるとまで言い難いです。
目先の生活だけではなく、長期的な目線で老後の生活設計を行った上で利用することをお勧めします。