くらしの健康診断
2024年08月21日 [くらしの健康診断]
心に残ったエピソード:高齢者支援の現場から@
みなさん、こんにちは!
後見担当事務です。
当所では常時50名近くの方の被後見人(任意後見含む)の生活をサポートしております。
認知症を患っている方、障がいのある方がお世話になっている医療や福祉施設のスタッフの皆さまのご本人に対する献身的な対応ぶりに心を打たれることがしばしばあります。
今回は心温まるエピソードの一端として、「80代前半の男性の有料老人ホームでのくらし」をご紹介します。
※プライバシーを考慮し、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。
現役時代は、とある業界紙の記者として締め切りに追われる毎日。
唯一の楽しみは校了後のつかの間、編集室で仲間と酌み交わすワンカップ。社会情勢をめぐって喧々諤々の議論が酒の肴でした。
妻に先立たれ、自身も大病を患ったことをきっかけに有料老人ホームに入居されました。
入居先探しから当所でかかわりましたが、唯一の条件は「お酒が自由に飲める」ところでした。
入居先はお酒も飲んでも大丈夫だし、外出や外泊もOKという自由度の高い施設でした。
好きなお酒を愉しんで悠々自適な生活を続けてもらえるものかと安堵したのですが、施設の定期訪問にお邪魔しても、今までのような覇気が感じられません。
晩酌をかかせなかったのに、施設に入居以来、一滴も飲んでいないと話します。
よくよく話を聞くと、「自宅でひとりで飲んでいたときとは違って、人の気配がするのに飲む相手もいない中で飲む酒は美味しくない。施設に入ったことで具合が悪くなったときに誰かいてくれる安心感はあるけれど、なんだか孤独感がましてますます寂しい気持ちになっている」とのこと。
本人はふだんとっても親切にしてくれるスタッフの皆さんに、そんな胸の内を話すなんて申し訳ないという感じでした。
しかも計画的に飲み会を開こう!という感じではなく、自然な形で開催できるようにプロセスも重視してもらいました。
作戦としては、お酒好きなスタッフが本人の居室に入ったときに、部屋にたくさんあるお酒に目がゆき、どんなお酒が好きですか?からはじまってお酒談義に花を咲かせ、「今度一緒にのみましょうよ」と盛り上がって飲み会を開くという流れです。
飲み会当日、車通勤の方は電車に変更されるなど配慮してくださったようで、予想以上に多くの方が参加してくださりました。
中には「夜勤なので、飲めなくて残念だけど・・・」と、空いたグラスをもってきて乾杯だけしてくれるスタッフもいました。
もちろん、ふだんもスタッフの皆さんは本人に声掛けしたり、何気ない世間話をして場を和ませてくれたりしてくださっていますが、自分のためのスペシャルな時間を皆さんが作ってくれたことが何より嬉しかったそうです。
そして、忙しい仕事の合間をぬって入れ代わり立ち代わり顔を出してくれたスタッフの方たちとのやりとりから、「若かりし頃、職場で酌み交わしたワンカップの美味しさを思い出した」と懐かしそうに話してくれました。
高齢者施設は、安全で適切なケアを提供する場でもありますが、入居者にとっては「終の棲家」です。
スタッフの皆さんは入居者ひとりひとりのこれまでの人生に想いを馳せながら、その人らしい彩のあるくらしを演出するために、日々、いろいろな配慮をしてくださっています。
そんなほっこりするエピソードに触れられるのも後見業務の醍醐味でもあります。
後見担当事務です。
当所では常時50名近くの方の被後見人(任意後見含む)の生活をサポートしております。
認知症を患っている方、障がいのある方がお世話になっている医療や福祉施設のスタッフの皆さまのご本人に対する献身的な対応ぶりに心を打たれることがしばしばあります。
今回は心温まるエピソードの一端として、「80代前半の男性の有料老人ホームでのくらし」をご紹介します。
※プライバシーを考慮し、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。
施設選びでゆずれないこと
80代前半の男性。現役時代は、とある業界紙の記者として締め切りに追われる毎日。
唯一の楽しみは校了後のつかの間、編集室で仲間と酌み交わすワンカップ。社会情勢をめぐって喧々諤々の議論が酒の肴でした。
妻に先立たれ、自身も大病を患ったことをきっかけに有料老人ホームに入居されました。
入居先探しから当所でかかわりましたが、唯一の条件は「お酒が自由に飲める」ところでした。
入居先はお酒も飲んでも大丈夫だし、外出や外泊もOKという自由度の高い施設でした。
施設に入居したものの・・・
自宅にあったワインや日本酒と共に引っ越した本人。好きなお酒を愉しんで悠々自適な生活を続けてもらえるものかと安堵したのですが、施設の定期訪問にお邪魔しても、今までのような覇気が感じられません。
晩酌をかかせなかったのに、施設に入居以来、一滴も飲んでいないと話します。
よくよく話を聞くと、「自宅でひとりで飲んでいたときとは違って、人の気配がするのに飲む相手もいない中で飲む酒は美味しくない。施設に入ったことで具合が悪くなったときに誰かいてくれる安心感はあるけれど、なんだか孤独感がましてますます寂しい気持ちになっている」とのこと。
本人はふだんとっても親切にしてくれるスタッフの皆さんに、そんな胸の内を話すなんて申し訳ないという感じでした。
作戦決行!
介護主任と相談し、スタッフの方との飲み会を開いてもらうことにしました。しかも計画的に飲み会を開こう!という感じではなく、自然な形で開催できるようにプロセスも重視してもらいました。
作戦としては、お酒好きなスタッフが本人の居室に入ったときに、部屋にたくさんあるお酒に目がゆき、どんなお酒が好きですか?からはじまってお酒談義に花を咲かせ、「今度一緒にのみましょうよ」と盛り上がって飲み会を開くという流れです。
飲み会当日、車通勤の方は電車に変更されるなど配慮してくださったようで、予想以上に多くの方が参加してくださりました。
中には「夜勤なので、飲めなくて残念だけど・・・」と、空いたグラスをもってきて乾杯だけしてくれるスタッフもいました。
飲み会を経て本人は・・・
この飲み会を通じて、本人はたくさんの人と触れ合うことができました。もちろん、ふだんもスタッフの皆さんは本人に声掛けしたり、何気ない世間話をして場を和ませてくれたりしてくださっていますが、自分のためのスペシャルな時間を皆さんが作ってくれたことが何より嬉しかったそうです。
そして、忙しい仕事の合間をぬって入れ代わり立ち代わり顔を出してくれたスタッフの方たちとのやりとりから、「若かりし頃、職場で酌み交わしたワンカップの美味しさを思い出した」と懐かしそうに話してくれました。
高齢者施設は、安全で適切なケアを提供する場でもありますが、入居者にとっては「終の棲家」です。
スタッフの皆さんは入居者ひとりひとりのこれまでの人生に想いを馳せながら、その人らしい彩のあるくらしを演出するために、日々、いろいろな配慮をしてくださっています。
そんなほっこりするエピソードに触れられるのも後見業務の醍醐味でもあります。