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くらしの健康診断
2024年09月04日 [くらしの健康診断]

消費者トラブルにあわないために

消費者トラブル
みなさん、こんにちは!
司法書士の清水です。
当所では常時50名近くの被後見人(任意後見含む)の方の生活サポートをしています。判断能力が低下している認知症の高齢の方だけではなく、知的や精神障害のある方も対象となります。
本ブログでは、後見制度利用のきっかけのひとつである「消費者トラブル」に関して取り上げます。
後見制度のみならず、一般の方でも被害にあうリスクの高い「悪質通販サイト」のことについても言及します。

後見制度利用のきっかけとなる「消費者トラブル」
後見制度利用のきっかけとして、最も多いのは「預貯金等の管理・解約」です。
例えば、施設入所のための入居一時金や住宅リフォームなどで定期預金を解約したいなどの際に、本人の意思の確認がとれない場合です。
※預金を引出す場合には本人の意思確認が必要となるため、いくら本人のための支出であったとしても、家族といえども本人に代わって自由に引出すことができないのが現状です。

割合としてあまり多くありませんが、訪問販売やテレビショッピングなどで不必要な商品を重複して購入していたり、悪質商法に騙されるなど消費者トラブルが成年後見利用のきっかけになることもあります。
判断能力が低下している方ですと、買ったことを忘れて繰り返し何度も購入し続けてしまいます。
悪徳業者が近づいてきても、そもそも被害にあっているという自覚がありません。
また、認知症の初期段階や軽度知的障がいの方の場合は、理解していないのにもかかわらず問いかけに「はい」と答えてしまう傾向があったり、簡単なことであればスムーズに受け答えができてコミュニケーションが成立してしまうので、すぐに被害が発覚しない場合も多いです。
そうなりますと、被害に気づいたとしても契約時点で判断能力が不十分であったことを証明できないため、解決が難しくなります。

成年後見人の権限で生活を守る
成年後見人は、判断能力が低下している被後見人が安心して生活できるように、本人を保護するための代理権や取消権を広範に持っています。
ただし、民法9条「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない」によって、すべての行為が取り消せるわけではありません。

日用品は日常生活を送るために必要不可欠なものです。したがって、自由に購入できないと生活に支障が出る可能性があり、現実的ではありません。また、いくら被後見人の利益を保護するためといっても、例えば食料品や衣類などの日用品の購入までも厳格に制限してしまったら自己決定の侵害にもあたります。
ただし、日用品といっても幅が広く、趣味や娯楽の費用、スマホなどの通信費やゲームの課金など、その人の生活に欠かせないものが何にあたるのか、被後見人の生活ぶりや資産状況、その物品の必要性などを総合的に考慮して判断しています。

誰もが消費者トラブルにあう可能性が?!

少し話が逸れますが、昨今では一般の方でも消費者トラブルにあうリスクが高まっています。
消費者の心理を巧みに利用したマーケティング手法が広がっていますし、国内だけではなく、インターネットを通じて海外からも手軽に買い物ができるようになっていますので、法的な規制や消費者保護の仕組みが時代の変化に追いつかず消費者が保護されにくい状況があります。

独立行政法人国民生活センター所管「越境消費者センター」(海外の事業者との間での取引でトラブルにあった消費者のためのオンラインの相談窓口)では、本年6月から「悪質通販サイト情報」を公表するようになりました。
日本語表示ができる海外に拠点のある通販サイトで商品を購入したが「海外から発送された商品が届かない」、「購入した商品が模倣品であるとの税関からの通知が届いた」「返品したいが、連絡がとれない」などの相談が急増しているようです。
また、同サイトには悪質通販サイトを見分けるチェックポイントも掲載されていますので、ぜひご参考になさってください。

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